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<2025年宮城県知事選挙>

  • knafehnablusi
  • 4 時間前
  • 読了時間: 6分

優生保護法被害者への補償や障害者差別解消に関する政策・考え方についての公開質問状と回答


 このたび、「旧優生保護法仙台弁護団」「優生手術被害者とともに歩むみやぎの会」「強制不妊訴訟不当判決にともに立ち向かうプロジェクト」の3団体で、宮城県知事選挙に立候補された5人の候補者それぞれに、メール、郵送等で優生保護法被害者への補償や障害者差別解消に関する政策・考え方についての質問をいたしました。

 回答を下さったのは、村井よしひろさん、伊藤修人さん、ゆさみゆきさんでした(回答順)。回答してくださった三人の方には、ご多忙の中、真摯にご回答いただきましたこと感謝申し上げます。和田政宗さん、金山屯さんからは回答がありませんでした。

 ぜひ、投票の判断材料のひとつとして目を通してくだされば幸いです。


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<質問項目>

1.宮城県における補償法の補償金等の支給認定数は、8月末時点で128件にとどまっています。県内のすべての被害者へ謝罪と補償を届けるために、どのような取り組みを行うべきでしょうか?

 

 2.宮城県は、全国で2番目に優生手術の被害者が多いことが知られています。その背景には、1950年代に県内を挙げて「愛の10万人県民運動」が行われたこと、県営の中央優生保護相談所附属診療所(愛宕診療所)があったことなどが考えられています。教育機関で優生手術を推奨するような発言があったという証言もあります。県内の被害拡大の検証について、県としてどのように取り組むべきでしょうか?

 

3.今後、優生思想による人権侵害が二度と起きないようにするために、優生保護法による強制不妊・強制妊娠中絶手術の被害を伝え続ける必要があります。宮城県内で行われた加害を忘れないために、どのような歴史継承の方法があるか、過去の資料・証言の保存や公開も含めた具体的な案をお聞かせください。

 

 4.宮城県では、2021年に「障害を理由とする差別を解消し障害のある人もない人も共生する社会づくり条例」と「手話言語条例」を制定し、共生社会の実現をめざしています。しかしながら、障害者や病気の人に対する偏見や差別は根強く残っています。また、生活の多くの場面で、障害のある人が不便さ・困難さに直面している現実があります。このような状況に対して、県としてどのような政策に取り組むべきか、ご見解をお聞かせください。



回答 <村井よしひろ さん>

1、

 宮城県における認定件数は、全国最多(8月末現在128件)となっており、引き続き、旧優生保護法の被害を受けられた方々に補償金等の支給が着実に行われるよう、弁護士会等と連携しながら、補償金等の請求に関する窓口・相談支援業務を進めるほか、ラジオ放送、施設等へのポスター・リーフレットの送付、新聞広告など様々な手段で広く周知や広報を行います。

 また、保有する記録で手術当時の住所が確認できるケースについては、他県における先行事例等を参考に、市町村の協力も得ながら現状把握を更に進め、一人でも多くの方の救済に繋がるよう取り組みます。


2、

 令和7年1月に施行された新たな法律では、偏見・差別の根絶や共生社会の実現といった観点から調査等を行い、優生手術等が行われるに至った原因や再発防止のための措置について、国が検証等を行うこととされていることから、これまでと同様、国の調査・検証にしっかりと協力していくことが重要であると考えます。


3、

 優生思想による人権侵害を二度と起こさないため、被害を伝え続けることは大変重要であると考えます。

 旧優生保護法に関連した資料の保全については、国から、県や市町村、医療機関及び福祉施設が保有する関連資料を保全するよう依頼されていることから、旧優生保護法に関連する資料は引き続き、適切に保管する必要があると考えます。

 保有する資料については、個人のプライバシーに関する情報が多く含まれていることから、広く公開することは想定しておりませんが、開示請求があった場合は、個人情報保護法及び情報公開条例に基づき適正に対応いたします。


4、

 障害のある方が地域で安心して生活するためには、保健・医療・福祉の提供体制の充実に加え、雇用・就労の促進による経済的自立の支援、そして地域住民の理解の醸成が重要であると考えます。

 条例の普及と併せて、障害のある方とない方との交流の機会を創出し、障害や障害のある方に対する県民の理解と関心を高めるとともに、障害のある方の社会参加を促進し、共生社会の実現に向けて取り組みます。

 また、ユニバーサルデザインの普及による誰もが住みやすいまちづくりの推進や県視覚障害者情報センター及び県聰覚障害者情報センターの情報提供機能の充実等を通じて、情報のバリアフリー化を図ります。


回答 <伊藤修人 さん>

1、令和7年1月17日施行から5年後の令和12年1月16日までには対象となる全ての方々が請求を行う必要があることから、県や市町村の社会福祉を管轄する部署を通じてチラシ、ポスター、広報紙等で周知を行う併せて、県職員が障害者施設を訪れて相談を重ねた山形県の事例を参考に、宮城県でも対象者への積極的なアプローチを行っていきたい。


2、

「愛の10万人県民運動」のような活動は宮城県以外の都道府県では実施していたことの確認がとれない。それだけ、宮城県では優生保護に積極的だったことがうかがえる。どのような人々が優生保護の旗振り役だったのか、歴史資料から検証し、明らかにする必要がある。


3、

宮城県図書館等で被害を受けた方の体験談・歴史的背景などを基に企画展を実施する。社会科副教材などの教科書に載せ、授業で取り扱う。


4、

テクノロジーを活用したノーマライゼーションに取り組む。



回答 <ゆさみゆき さん>

1、

優生保護法による被害者の方々に、県としての謝罪と補償がすべて行き届いていない現実を重く受け止めています。私は、記録で特定された方への訪問体制を強化し、医療機関・民生委員・障害者団体との連携により、潜在的被害者への丁寧な周知を進めます。さらに、申請をためらう方への心理的・社会的サポート体制を整備し、相談員の増員や広報費の確保を次年度予算で実現します。国の責任を前提に、県として「最後の一人まで届ける」姿勢を貫きます。


2、

宮城県が全国で二番目に被害者が多いという事実は、歴史的責任として検証を避けてはなりません。県独自に「優生保護法検証・記録委員会(仮称)」を設置し、当時の行政記録・医療資料・教育現場の証言などを体系的に整理・分析すべきです。国の調査と並行しながらも、県として「宮城で何が起きたのか」を明確にすることが、被害者の尊厳を回復する第一歩だと考えます。検証過程は公開し、県民と共有することを重視します。


3、

優生保護法による人権侵害を風化させないために、県立公文書館や図書館と連携した常設展示・デジタルアーカイブ化を進めます。証言を記録する「語り部プロジェクト」を立ち上げ、当事者や家族、市民の声を次世代へ引き継ぎます。また、学校教育の中で「命の尊厳と多様性」を学ぶ教材を作成し、教育委員会と連携して実施します。過去を正面から見つめ、共に記憶し続けることこそ、未来の共生社会の礎です。


4、

「誰ひとり取り残さない宮城」を掲げ、障がいのある人が地域で安心して暮らせる社会の実現に力を注ぎます。県が制定した「障害を理由とする差別を解消し障害のある人もない人も共生する社会条例」の理念を現場で生かすため、企業・行政・学校における合理的配慮の実践を支援し、県職員の障害解研修を義務化します。公共施設や交通機関のアクセシビリティ向上、重度障害者への就労・生活支援を拡充し、共生社会を地域経済の一部として位置づけます。偏見をなくすのは制度であり、教育であり、対話です。

 
 
 

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