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2023年3月6日優生保護法訴訟仙台地裁判決に対する声明

更新日:2023年3月10日

3月6日の仙台地裁判決を受けて、下記のとおり、「強制不妊訴訟不当判決にともに立ち向かうプロジェクト」との連名で声明を発表しました。


私たちは、今回の仙台地裁判決を高く評価します。

国はいまこそ、控訴することなく、本判決を速やかに確定させ、原告らの人権回復を開始するよう求めます。


私たちの思いを込めた声明です。ぜひ目を通してください。

PDF・Word・画像ファイルも添付しています。


20230309 【確定版】優生保護法訴訟仙台地裁判決に対する声明[13135]
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2023年3月6日優生保護法訴訟仙台地裁判決に対する声明


2023年3月9日

優生手術被害者とともに歩むみやぎの会

強制不妊訴訟不当判決にともに立ち向かうプロジェクト


私たちは、仙台地裁で始まった、優生保護法被害者の国への謝罪と補償を求める闘いに伴走する学生・市民の有志です。同法が長年にわたって許してきた凄まじい人権侵害の歴史を学び、見過ごされてきた当事者の「人生被害」に向き合い、国の責任を問うとともに、二度と同じことを繰り返さないよう、地域社会での「共生」の実現を目指して活動をしています。

2023年3月6日、仙台地方裁判所第3民事部(髙橋彩裁判長)は、国に対し、優生保護法被害者である原告らへの損害賠償を命じる判決を言い渡しました。これは、2018年1月に宮城県の女性が提訴した国家賠償請求訴訟につづく全国の一連の裁判で、5つ目の勝訴判決でした。

判決では、優生保護法が憲法13条、14条1項、24条2項に違反することを認めました。また、被害者が、手術の内容やその実施主体および根拠について認識することが困難な仕組みをつくりだしたのは、国であったと認定しています。さらに、国が同法にもとづく優生思想の普及を目的とした政策を継続し偏見・差別を強化したこと、法改正後も優生手術が適法であるという立場を取り続けたこと等によって、原告らは提訴をするための情報や相談機関にアクセスすることが困難な状況であったとしました。そしてその困難さは、原告らが2018年1月以降に優生保護法国賠訴訟の報道を知り、関係者の支援を経て、法律相談を実現したときまで解消しなかったと述べています。このような特段の事情を踏まえて、除斥期間の適用は著しく正義・公平の理念に反するとして、除斥期間の適用を制限しました。

特筆すべきなのは、被害者が被害を訴えることの困難さにも言及している点です。優生手術について損害賠償請求することは、障害や不妊手術というプライバシーにかかわることを弁護士に告知し、法廷で公表することを伴い、報道対象にもなるうえ、自身や親族・関係者に影響が及ぶことも想定されることから容易ではないとしました。提訴に至るまでにはいくつもの障壁があり、関係者や法律家による支援によって初めて実現するものであったという原告の事情を的確に踏まえた判決であり、高く評価します。

2019年5月の仙台地裁判決では、優生保護法を憲法違反としつつ、除斥期間を適用し原告らの訴えを退けました。やっとの思いで裁判に訴えたにもかかわらず、ことの重大さに反して、「時間切れ」という冷たい対応に被害者は傷つけられ、私たちは強い憤りを覚えていました。今回の判決では、被害者が自らの被害を言葉にし、裁判を起こすことがいかに困難であるかが示されました。またそれを克服するために十分な支援が必要であることを裁判所が明確に認めています。ようやく司法が人権保障の砦としての役割を果たしてくれた、という思いでいます。

本判決を受けて、国は、優生保護法に基づく人権侵害の実態と、障害のある人に対する偏見・差別が払拭されていない現状に真摯に向き合うべきです。違憲の法による人権侵害に対する損害賠償から逃れ続けることは、何重もの人権侵害をいまだに続けていることにほかなりません。いまこそ、控訴することなく、本判決を速やかに確定させ、原告らの人権回復を開始するよう求めます。

加えて、現行の「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」の運用にとどまらない、すべての被害者に対して、その被害に見合う補償と尊厳回復の措置を求めます。さらには、人権教育の強化等、社会に染み付いてしまった優生思想を取り除くための政策をより一層進めるよう強く要請します。


以上



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